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不倫してる人に「エッチの時は獣やで」とドヤ顔され「デフレスパイラルだね」と返して怒られた話

みんなが聞けないけど黙ってる。言いたいけど黙ってるような事を聞いてみました。





 ずっとずっと前のこと。

 


 近所に住む同い年の奥さんと仲良くなり、よくお互いの家を行ったり来たりしていた。

 生活の変化とともに会う頻度が少なくなっていき、しばらく疎遠になっていたある日。

 新しく出来たパン屋さんで偶然彼女と会った。 

 久しぶりに会う彼女は、ペラペラの紙のよう。重さを感じさせないほど痩せていた。

「なんか…痩せた?大丈夫?」

「…うん。色々あって。…今度話を聞いて欲しい」


 そう言われ、後日、久しぶりに彼女の家に遊びに行った。


 痩せた理由は、彼女の精神的不安からくるものだったらしい。

「こんな感じで〜。こんな感じで〜」とその時の様子を話す彼女。

「うんうん、大変だったね」と聞くコロン。


 ひとしきり話終えた時、彼女が言った。


「…まだ、誰にも話してないんだけど…コロンちゃんにだけは言おうかな…。誰にも言わないでね」


 そう前置きして話し出した内容は「今ね、旦那さん以外の人と付き合ってるの」だった。


 旦那さんが銀行に勤めている彼女の家は金持ちだ。彼女が働く必要はないのだが、一人でいると不安になる彼女に、旦那さんが「無理のない範囲で働いてみたら?」と提案してくれたそう。

 そこで知り合った人「二人と比べて、今は一人」って。


 おいおいおい。

 何比べたんだよ。


「やめなよ。旦那さん可哀想だよ。病気の時支えてくれたんでしょ?」と言うと、自分の育ちから話だし、どんなに不幸だったかと不幸自慢。彼女の実家は会社経営しているが「軌道に乗るまでは、他の家より貧乏だった」って話。

「え〜うちは今も貧乏だけど?」と言うが、そこは聞こえないらしい。


 今の状態は、不幸に育った自分の心の穴埋めをしている。とか、なんとか言う彼女。

「ご両親はあなたを大切にしててくれたよね?」と言えば「でも寂しかった」とかなんとか。その言い訳を全く理解できない。自分中心で呆れる。


 コロンは思った。

「こんなチャンス二度とないし、聞きたいことをどんどん聞いてみよう!」と。

 友人ではなくなるからもういいやと。


 旦那さんと夜はどうしてるのか?とか、罪悪感はないのか?とか、ホテル代はどっちが払うの?とか。

「ホテル代は割り勘だよ」と言う彼女に、コロンは軽く笑って「お金払ってまでやりたくないなぁ」とか言う。


 終始ヘラヘラとした口調で、突っ込んだ質問をするコロン。

 だんだん彼女の顔色が変わり始めた。


「それってやるだけの関係って事?」

「そんなところに愛なんて求めてない。コロちゃん。男と女は獣やで。エッチの時は獣やで」

 とドヤ顔され、こんな臭いセリフ言う人いるんだ?と、コロンマジで笑ってしまった。


「あ〜…その関係ってさ、デフレスパイラルみたいだね」


「デフレスパイラルってなあに?」

 横文字で言われてちょっと嬉しそうな彼女。

 コロンが右手の人差し指をクルクル回して「何しても悪い方に落ちて行くやつ」と微笑むと「失礼ね!せめて失楽園と言って欲しいわ!」って(笑


「あはは!いいね、そんな気分なんだ?笑える。さてと、コロンもう帰るね。〇〇ちゃんはコロンにわかってもらおうと思って話したかもしれないけど、コロンがわかる事は絶対にないから。どこまでも平行線だから」と言って立ち上がる。

 玄関先までついてきた彼女はかなりご立腹であった。


「送らなくていいよ。たぶんもう会う事もないし」

「じゃあ送らないから!もう二度と来ないで!」と言ってドアを閉めた。


 その日の夜、コロンは旦那に「〇〇ちゃんが〜」と、すぐに話す。

 友人にも「前は友達だった人なんだけど…」と、すぐにペラペラ話しちゃった。


「誰にも言わないでね」は、おまえがな!と思った。




 それから数ヶ月後。

 コロンがお家にいると、外からやたらクラクションが聞こえた。

 何かあったのかと二階の窓からそっと外を見ると、家の前に一台の車が。

 そこにデフレスパイラルの彼女がいた。


 ええ〜…


 窓から覗いたコロンに気づいた彼女が嬉しそうに手を振る。

「車買い替えたの!」

「へー」

「今何してるの?」

「別に何も」

「…」

「…」

「つかコロちゃん家に入れてくれない?(怒」

「∑(゜Д゜)」


 二階の窓からで済まそうとしていたコロンはびっくりした。


 んで家に入れてあげた。優しいっ!


 お茶を出す、優しいが過ぎるコロン。

 彼女は「旦那さんと仲良しで〜」と旦那さんラブな話ばかりしてる。

 これは彼女なりの言い訳と謝罪なんだろうな。と思うコロン。


 部屋の角にあった小さなくまちゃんのぬいぐるみを見つけた彼女。

 コロンがくまちゃんに作ってあげた大量の服を見て「このお洋服コロちゃんが作ったの?」

 頷くコロン。

「作り方教えて!一緒に作ろう!」

「むりむり。教える技術ない。〇〇ちゃんなら一人でも作れるよ」



 一緒にやりたいとねばる彼女を拒否るコロンの押し問答。


「いや、本当無理だから。一人でやりたいから。〇〇ちゃんも好きにやってよ」


 そう言って帰ってもらった。





 あと二人。デフレスパイラルの脳みその人から話を聞く事になるとは思わないコロンであった。






 おわり。




デフレスパイラルとは。

物価が下落し続ける状態と、その結果として実体経済が悪化していく状態が相互に影響し合って悪循環に陥ること。

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