義母と義妹に食事を与えられない虐待をされるヒロインと、食べ終わるまで帰れないコロン
異世界のシンデレラストーリーでよくある設定。
幼い主人公が母親を亡くし、その後継母、義妹にいじめられてご飯を与えられないでガリガリに育つ。
それを知ったかっちょいいヒーローが胸を痛め、その境遇を乗り越えてきたヒロインへさらに愛情を深める…
ベッタベタの設定ですが、コロンは食べさせてもらえないヒロインがなんとなく自分と重なります。
もちろん母親から虐待なんてされていません。
コロンは食べている最中にスキップなんかしちゃって母親に怒られるような子どもでした。
そんなコロンが何故「ご飯を与えられないヒロイン」に共感するのか…
それは真逆の理由です。
。。。
放課後。小学校の教室。
これからはじまる掃除のために、椅子が乗せられた机は後ろの壁まで下げられていた。
上を向いて並ぶ椅子の4本の脚は、まるで牢屋の鉄格子のよう。
教室の窓のカーテンは閉じられ、部屋は薄暗くなっています。
その中で数人の小さな子どもが、もっすもっすとパンを食べていました。
部屋の左前方には教卓があり、そこで小林先生が監視官のようにこちらの様子を伺いながら物書きを進めています。
他の子どもたちは校庭で遊んだり、家に帰る時間でした。
もっすもっすもっす。
「せんせえ。もう食べられません」「がんばりなさい」
即答です。
もっすもっす。
もっすもっす。
全て食べるまでは帰れないのです。
時間をかけてもっすもっすと食べ終わると、そこでやっと解放されるのです。
給食後に授業のある日は、お昼休みの間はずっと食べていて、5時間目が始まる前に下げるようにいわれるのです。
ある日。
女の子がいつものように椅子の脚に付いた綿ぼこりを見ながらパンを食べていた時、肘がぶつかりうっかりパンを落としてしまいました。
「せんせえ。パンを落としました」
「では食べなくていいです」
女の子はその日からパンをよく落とすようになりました。
実は他にも女の子と同じように帰らせてもらえない女の子や男の子もいました。
食べられずに泣きながら食べている子もいました。
こっそり机の中にパンを隠す子や、カバンに入れる子もいました。
もちろんそれが出来ない子もいました。
カバンや机の中からカビたパンが出てくることはあちこちでありました。
カビたパンが怖い女の子はそれができませんでした。
。。。
コロンがよくパンを落とす事で小林先生に「注意が足りない」と怒られましたが、パンを落とすのはやめませんでした。
牛乳もお腹が痛くなるので飲めませんでしたが、これは蓋を開けなければ飲まなくて良かったのと、牛乳が好きな男の子が「もらっていい?」と言うので飲んでもらったりしていました。
きちんと、小さな食いしん坊のヒーローが現れています。
こんな理由で、異世界のヒロインはご飯を与えられないシーンは、コロンは小学校の給食シーンと重なります。
。。。
余談ですが…
今も少食なコロン。
ガリガ◯君のアイスを一口齧っては冷凍庫に戻して、また次の日食べていました。
そのアイスの棒に「当たり」と書かれている事に気づくのに一週間かかりました。
「当たり」にも驚きましたが、気づくのが遅い自分にも驚きました。