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五話

 キース・クラーク。彼はそう名乗った。聞いた瞬間、私の脳は停止してしまった。なぜならば、友人が書いた小説、「エレナは恋をする」の登場人物だからである。

 小説でのエレナがキースに出会ったのは、エレナが学園に通い始めた頃だった。エレナが通う騎士、もしくは騎士見習いが訓練する訓練場に迷い込んだ時である。

「ここは……。」

と、エレナが道に迷った時、

「道に、迷ったのか?」

 そう声をかけたのがキースだった。

 キースは孤児だったのだが、騎士のしての才能が見出され侯爵家の騎士になったが、年齢が若かった為学園に通っているのだ。

「ええ、まだ通い始めたばかりで、ここがどこか分からなくて……。」

「僕も、通い始めたばかりなんだ。ということは同学年だな。よろしく。」

「そうなのですね!よろしくお願いいたします!」

 すると、エレナはキースの後ろの花壇に目を向ける。

「綺麗な花ですね。ここで育てているのでしょうか?」

 すると、キースは少しにこやかに話す。

「ええ、訓練仲間達が一生懸命育てている花達です。お花好きなんですか?」

「ええ!」

「そうなのですね……。亡くなった母も好きだった。」

 キースはこの時からエレナの事が気になり始めたのだった。

 その後も、フェル達と行動したりして親交を深めるのだが、フェルとエレナの仲を知ったキースはエレナとの恋愛は心にしまってしまう。

「この思いは心にしまっておこう。」

 そんなキースは、小説の終盤に王妃を殺そうとした罪、反逆罪を起こし捕まってしまうのだった。何故そんな事をしたのかは、最終巻を読んでいない私には今でも分からなかった。ただ言えることは高校生の時に考えていた内容ではこんな事にはなっていなかったので、友人のひまりが新しく考えたものなんだろう。

 ただ、私はこのストーリーが辛かった。何故ならば、キースは私の推しだったのだ!学生時代は勿論フェルが好きだったのだが、年齢をかされるにつれ、タイプではなくなってしまった。だが、キースは私のどタイプだったのだ。だが、それも推しとしてであり恋愛としてではない。

 そんなキースが、今、目の前にいる!こんな事があるのだろうか。しかも学園より一年前の前の幼き姿で!

「……大丈夫?」

 と、目の前のキースは私を心配してくださっている。

「え。……大丈夫。大丈夫。」

 自分に言い聞かせるぐらいには動揺してしまっている。

「……もしかして僕のことで知ってる事あるの?」

 となんだが鋭い顔になるキース。

「え?ないないない!知り合いの名前と似てただけ!」

「……ふぅん?」

 嘘である。だって言えないじゃないか!小説の世界の人間だなんて!そして、あなたが私の推しですー、なんて!

「それで、君の屋敷に行くんだよね。そろそろ行こうか。」

「そ、そうね!」

 こうして、まだ動揺が消えないまま屋敷に戻ることになったのだった。

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