第六話 神覚醒・下
一息つきたいところだが俺は違和感を感じ、振り返るとそこには怪我一つない鬼人が立っていた。
「なっ!?」
「ク…クハハハッ!よくもやってくれたなぁ!人間ッ!!!」
「クッ…」
どう言うわけか起き上がった鬼人は俺のスピードについて来ていた。
「何がどうなった…!?」
『主よ、これは恐らく狂化だ。狂化は再生力、筋力が爆発的に上昇する現象でごく稀にある』
「チッ…何だよそれは」
でも、俺の有利は変わらない。
このまま行くと俺の勝ちだろう。
「クソッ!クソッ!何なんだよお前は!?人間のくせしてなんでそんなに強いんだッ!!」
とうとう俺の刀が鬼人を粉々に斬り裂き、鬼人は絶命した。
「やっと終わったな…」
『主よ、見事だ』
俺達は鬼人が死んだことによって奴の空間から脱出する事が出来た。
空間の裂け目のようなものも無くなっており、辺りは静かだった。
俺は激しい戦闘の後で魔力も体力も底を尽きかけていたのでシーラにもたれかかって寝ることにした。
『主よ、ここまでの成長といい一体何者なんだ…。先程の戦いもまるで雷神のようだった。我もいつかちゃんと主の隣に立てるようにならねばな』
シーラの呟きは既に眠りについていた俺の耳に届くことは無かった。
◇
俺は沢山の魔物の気配を感じて飛び起きた。
「一体何の騒ぎだ!?」
『主よ、起きたか』
「どうなってる!?」
『今森中の魔物達がこの場に集まっている』
「は!?どうして!?」
『新たな【王】の誕生だからな』
「はぁ!?俺がか!?」
『当たり前だ。魔物の世界は弱肉強食。強いものが【王】となる』
「マジかよ…」
その後、俺にはどうすることも出来ず結局『王』になってしまった。
そして俺は禁忌の森で五年過ごし、成人となる15歳を迎えた。
短めですみません。次回から新章に入ります。