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霹靂の剣聖  作者: いなさと
一章 禁忌の森
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第三話 魔法

目覚めた俺は魔力に慣れるために色々試していた。

雷属性は殺傷能力が高く俺の戦闘スタイルに合ったものだった。


まずは基本的な身体強化、これは単純に魔力で体を覆うだけでいいのだが俺は属性魔力つまり雷属性の魔力で身体強化を行った。

すると、通常の身体強化よりも素早い動きができ力も上がっていた。


そして、しばらく鍛錬もとい修行をしていたのだがふと強い殺気を感じた。

俺もこの森に来てから魔物の気配や匂い、殺気に敏感になってきている。


茂みの奥からグリズリーより高いであろう魔物が出てきた。

それはSランク上位に位置する白虎だった。


『グルル…』


「なんでこうも強い敵ばっかり…」


自分が禁忌の森にいることは分かっている、でもそれでもおかしいくらい強敵と連日戦っている。

俺は腰を落とし刀に手を添える。


まだ刀は握らない。

刀は居合術を使った方が強いのでそうする。


『グワァッッ!』


俺は飛びかかってくる白虎に向けて一閃。

白虎は俺の殺気を感じ取って直前で止まりバックステップで避けた。


しかし、白虎の鼻元には横一閃の深い傷が出来た。

白虎が俺を敵として認め、雷属性の魔力で自身を強化した。


「なるほど…お前も雷属性か」


俺も身体強化し、ギリギリ白虎の動きについていけていた。

第三者がこの戦いを見ていたら稲妻が近くでなっているような衝撃と音を感じているだろう。

それほど白熱した戦いだった。


お互いに体に傷が増えていき、同時に魔力切れを起こした。


「クソ…めまいが…」


それは相手も同じだった。

フラフラと刀を鞘に戻し、構えを取るが視点が定まらない。


白虎も立っているのがやっとだった。

しかし、流石は魔物だろう。


めまいから覚め、すぐに襲いかかってきた。

俺はすぐさま横に避ける。


頭がグラグラするのを堪え居合の構えを取る。

目を瞑り、視覚を閉じ残りの感覚で白虎の気配、殺気を感じとる。


全身で白虎の殺気を感じながらチャンスが来るのを待っていた。

敵の攻撃を最小の動きで躱し、機会を待つ。


攻撃が当たらずイライラしてきたのか攻撃が雑になってきたところで縦に一閃。

今度は白虎の左目を潰すことができた。


『グガァッ』


白虎は後ろに大きくのけぞった。


電撃(スパーク)


魔力を無理矢理絞り出し新しく覚えた魔法を放つ。

簡単に命中し、電撃で体が痺れた白虎は気絶した。


ここで俺も体が限界をとっくに超えており意識を手放した。




 ◇




目覚めると目の前に尻尾を振っている白虎がいた。


「……ん?」


『主よ、目覚めたか』


「今のお前か…?」


『そうだ、主よ』


「喋れるのかよ…それよりもなんで俺を殺さなかった?」


『我は主に負けた身、こうして忠誠を誓うのは普通のことだ』


「勝ったのか怪しかったけどな」


『いいや、あれは完全に主の勝ちだ』


「そうか、ありがとう」


『主よ、その腰に下げている剣はなんだ?初めて見る。それに我を2回も傷つけた』


「あぁ…これは剣じゃなくて刀だ。片刃で斬れ味抜群だ。カッコいいだろ?」


『そうだな、その刀では二度と斬られたくない』


「ハハッ、そっか」


『して主はなぜこんな所に?』


「家族と旅行に行こうと馬車に乗ってたんだけど道中で魔物に襲われちゃって逃げたらここに迷い込んでたんだ」


『それは災難だったな』


「…まぁね」


それからちょっと雑談をした後、白虎もといシーラに跨って森を散策した。

シーラと共にいるとなかなか魔物が襲ってこなくなる。


すると、遠くの方から戦闘音が聞こえてきた。

俺とシーラは近くに行くべく走り出した。


「おぉ、こりゃ凄いな」


目の前で繰り広げられている戦いは目を見張るものがあった。

ブラックウルフの群れと大型のゴリラの魔物の戦闘で、ゴリラは持ち前のパワーでブラックウルフ達を蹴散らしていた。


ブラックウルフ達は後退し始めたが、群れの後方から一際大きな個体がでてきた。

あれが恐らく群れのボスだろう。


『ワオォォォォォン』


遠吠えをするとゴリラに襲い掛かる。

ゴリラが腕を振るうが、ボスはそれをジャンプして躱す。


ボスも持ち前のスピードで一瞬で懐まで潜り込み喉元に噛み付く。

ゴリラは一瞬よろけるが、すぐにボスの首を掴んで離し地面に叩きつけた。


その衝撃でボスの首の骨が砕かれ絶命した。

それを機にブラックウルフ達は逃げ去っていった。


「ほぇ〜あいつ強いな。でも攻撃が当たらなければ勝てそうだな。俺とあいつは相性がいい」


『なら我はここで見ているとしよう』


俺は茂みから飛び出してゴリラの首目がけて一閃。

俺の殺気に気づいてギリギリ躱す。


首に浅い傷がついただけだったがゴリラは警戒心を強めた。

対して俺は身体強化して既に懐に潜り込んでいた。


ゴリラが気づいた時には体に縦の線が入り真っ二つになっていた。


「ふぅ…俺も強くなったな」


『流石だな。にしても凄い成長速度だ』


「まぁここでは早く強くならないと生きていけないからな」


『確かにな。人間なら尚更だろう。ってかそもそも生き残れる奴なんか滅多にいないだろうな』


俺とシーラはゴリラを食って日も暮れてきていたので休む事にした。


「今日は特に大変だったな…」


『我と戦ったからか?』


「まぁそうだな。今までで一番苦労したよ」


『そうか』


それからはただ静寂が場を支配し、俺は空一面に広がった星を眺めていた。



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