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第97話 ここ掘れワンワン!
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ん? これは……。
散歩の途中、農道で、オレは気になる場所を見つけた。
パっと見、何の変哲も無いあぜ道だ。
だが、オレの勘が、ここに何かがあると言っている!
その場に止まったオレを見て、パパさんが不審そうな顔をしている。
オレは一気に地面を掘った。
何かそこにあるのか? と、パパさんが覗き込む。
おいおい、邪魔するなよ?
不用意に近くに立ったパパさんの足に、オレが掘った土が容赦なく掛かる。
パパさんが慌てて飛び退いたが、そんなもの気にしない。
格闘すること五分、ようやくオレは掘り当てた。
……空きビンを!
パパさんがズッコける。
次の瞬間、パパさんが頭を抱えた。
ん? どうかした?
これじゃ、『みたらし』じゃなくって『あんこ』だよ、だってさ。
どうやらオレの顔が、土掘りで真っ黒になっているらしい。
まぁ……そうだろうな。
どんまい、パパさん。
そして今日もオレは朝からお風呂行きだが後悔はしていない。