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第96話 柴ドリル
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
あぁあぁ、ひどいな、パパさん。
背中とか、濡れまくりじゃんか。
ちゃんと拭かなきゃダメだろ。
オレは風呂上がりのパパさんを見た。
ビッショビショで、パンツ一丁で歩き回ってる。
ほら、オレがお手本見せてやるから、その通りにやるんだぞ。
ほれ、ぶるぶるぶるーー。
オレは身体を振ってみせた。
パパさんはそんなオレを見て、小首を傾げてる。
お前は濡れてないだろうに、だって。
だーーかーーらーー。
こう! やって! 水を! 飛ばすの!
あぁ、もう、なんで分かってくんないかなぁ。
またママさんに怒られるよ?
……案の定、パパさんはママさんに怒られた。
しっかり身体を拭けって。
ついでに、早く服着ろって、ママさんにパジャマ投げつけられてら。
言わんこっちゃない。
どんまい、パパさん。
そして今夜も、風呂上がりのクーラーは、パラダイスだ。