第95話 ペットボトル犬
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
お! 『もなか』だ!
ワン!
オレとパパさんは、散歩の最中、『もなか』に出会った。
『もなか』は、茶色い豆柴だ。
オレより年上でありながら、オレよりちょっと小さい。
豆柴だからな。
たまにこうして散歩中に出会う。
向こうはいつも、パパさんママさんと、二人と一匹で散歩している。
パパさんが向こうのご両親に挨拶して、『もなか』を撫でさせてもらっている。
パパさんは『もなか』が大好きなので、ご機嫌だ。
ま、代わりに、オレも向こうのご両親に撫でられるがな。
お、なんだ、もう拾ったのか?
オレは『もなか』が口に咥えているペットボトルを見た。
コイツはこうやって、道に落ちているペットボトルを見つけると、咥えて家に帰るのだ。
町のお掃除屋さんってところかな。
うむ、感心感心。
そうしてオレたちは、『もなか』たちと別れてまた散歩に戻った。
歩きながらパパさんが言う。
お前はペットボトル咥えないのか? って。
おいおい、パパさん、言っちゃなんだが、散漫なオレが帰宅するまでペットボトルを咥えたままでいるとでも?
できることはするけど、できないことはしないんだ、オレは。
行くぞ、パパさん。
そして今日も散歩が、はかどる。