93/365
第93話 チーズ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
パパさんがオレの口元に薬を持ってくる。
うわ、きっつい臭いがする。
虫下しの薬だ。
飲めって?
オレはプイっと横を向いた。
それ、苦手なんだよ。
臭いし、不味いしさ。
頑として口に入れないオレに、パパさんがため息をついて、薬を回収していった。
ふん! そんな薬、絶対飲むもんか!
べぇーー。
次にママさんが、内緒よって言いながら、チーズのカタマリを持ってきた。
チーズ! チーズだ!!
ちょうだい! それ、ちょうだい!!
はむはむ、うん、美味い美味い!
はて。
そういえば先月も同じようなことがあった気がするなぁ。
パパさんの薬、ママさんのチーズって感じでさ。
しばらくパパさんの薬、飲んでないけど、いいのかな。
……ま、いっか。
チーズ、うまうま!
ん? ママさん、なんでガッツポーズしてるの?
パパさん、苦笑いをしながら、ママさんに向かって拍手してら。
変なの。
どんまい、パパさん。
そして今日もチーズが美味い!