第91話 コラボ
何だ? このタイトル。
あぁ、もう一個のほうが今日終わると。
要は特別回で、リンクしてるってことね?
はいはい、分かりました。
んじゃ、早速。
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
潮風の匂いに誘われて港に来たオレは、桟橋から海を眺めていた。
波がザッパーーンっていってる。
おーー、すげーー。
オレは周囲をトコトコ歩いた。
港だからか朝だからか、ずいぶんとモヤが出ている。
と、ある家の前に立っていた女の子と目が合った。
外国の女の子のようだが、全く目を反らさない。
ワン!
オレに何か用か?
次の瞬間、オレはいきなり突進してきた女の子に抱き締められた。
うわっぷ、何をする!
女の子がオレの身体を乱暴にワシャワシャする。
ちょ、ひっくり返すな、お腹をさわる……なぁ。
は、はぅぅ。う、動けないーー。
しばらくされるがままになっていたオレの耳に、パパさんの呼ぶ声が聞こえた。
オレはガバっと起き上がった。
悪いな、もう帰らなくっちゃ!
ワン!
じゃあな、お嬢ちゃん!
オレは女の子を置いて、パパさんの声がする方へ走った。
んが?
何だこれ。
エサ入れにシャケが入っている。
パパさん、そろそろ起きろ、だって。
そっか、オレ、寝てたのか。
シャケの匂いが海を連想させたのかな。
……シャケ? シャケ食べる!!
お疲れ、オレ。
そして今日も日が昇る。