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第90話 サブスク
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
まだかな、まだかな。
オレは今朝から玄関で、そわそわしていた。
キキーー、バタン。
お、来た来た! 宅配便の車だ!
配達員さんが、車の中をゴソゴソやっている。
ワンワン!
オレは家の中に向かって吠えた。
パパさん、急げ急げ、サブスク、来たぞ!
オレの吠え声に気付いて、パパさんが奥から出てくる。
オレはパパさんの周りをぐるぐる回った。
しばらくパパさんは、どうしたどうした、なんてやってたが、やがて分かってくれたらしく、玄関の戸を開けた。
荷物を受け取ったパパさんが、早速ダンボールを開けて、中身を取り出してくれる。
……サザエ?
それは、大きなサザエのヌイグルミだった。
だが、よく見ると、サザエ本体に、柔らかい棒のヌイグルミが刺さってる。
なんだこりゃ。
パパさんが試しに棒を引っ張った。
すると。
中身がデロデロ出てきた。
ワンワン!
オレは慌てて吠えた。
パパさんは逆に大笑いだ。
殻の中から中身が出てきた、サザエじゃなくって、サザエのつぼ焼きだって。
ここの編集部、何考えてこんなの作ったんだ?
どんまい、オレ。
そして今日もサブスクで遊ぶ。