第81話 秘密の部屋
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
最近、パパさんが部屋を改造した。
改造といっても、リフォームしたわけではない。
収納スペースに線を引っ張って、ちょっとした動画編集部屋を作ったのだ。
うちには、書斎なんてオシャレな部屋、無いからね。
およよ? スライドドア、開いてるよ?
オレはそっと中に入ってみた。
イスに机、PC、卓上ライトと、結構本格的な秘密基地と化している。
オレはイスに飛び乗った。
これ、ゲーミングチェアってやつだ。
ゆらゆら揺れて、楽しいぞー。
ドアがガラっと開く。
パパさんだ。
見つかっちゃった。
ゲーミングチェアに座ったパパさんが、ため息交じりに、オレに手を差し出す。
オレはヒョイっとパパさんの膝に乗っかった。
ドアが閉められ、パパさんによって、PCのスイッチが入れられる。
真っ暗な中、PCモニターの明かりだけ光ってる。
なんか凄い!
宇宙船にでも乗ってる気分だ!
ワン!
興奮して吠えるオレに、パパさんがドヤ顔で返す。
と、ドアがまた、スーっと開く。
ママさんだ。
パパさんとママさん、二人して苦笑いしてら。
秘密基地、いや、宇宙船に乗ったぞ、オレ。
そして今日も日が暮れる。