78/365
第78話 パパはお疲れ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
オレは車から飛び降りた。
懐かしの我が家だ。
ママさんの実家から長時間の運転を経て、ようやく帰ってこれた。
ママさんが早速、電話で実家に到着連絡を入れている。
パパさんはそれを尻目に、ガレージから自宅へ沢山の荷物を運び入れている。
オレ?
オレは足を拭いてもらうのを待って、玄関待機だ。
家に入ると、パパさんがソファで崩れ落ちて動かなくなった。
おいおい、大丈夫か?
ママさんが慌てて、パパさんのおでこに手を当てている。
疲れのせいで、熱が出たらしい。
『くるみゆべし』と会えた興奮もあるようだ。
パパさんは早々に寝室に入って寝てしまった。
大丈夫かな、大丈夫かな。
ママさんが頷く。
オレは、ママさんの許可も降りたということで、パパさんに寄り添ってあげた。
おでこにヒンヤリシートを貼ったパパさんが、オレの気配を感じ、微かに微笑む。
パパさん、嬉しいけど暑い、だってさ。
早く元気になれ、パパさん。
そして今日も夜が更ける。