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第73話 お坊さん
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ドッドッドッド。
およ? 何の音?
見ると、おかしな格好をしたオジサンがスクーターで庭に入って来る。
何か面白いこと始まる?
急げ、急げ。
身体、ぶるぶるーー。
オレは『しらたま』と揃って、ママさんに身体を拭いてもらった。
誰? 誰?
お坊さんっていうの?
お、ワンコ増えたか? だってさ。
お坊さんは笑いながら、オレをワシャワシャ撫でて、家の中に入って行った。
ママさんが案内する。
なんか知んないけど、二十分ほど、仏壇の前でムニャムニャ喋ってた。
家の人たちは、その後ろで正座して、お坊さんのムニャムニャを聞いてたよ。
……これ、何?
お? 終わった? 終わった?
オレと『しらたま』が揃って玄関のヒンヤリ床で涼んでいると、お坊さんがまた、笑ってオレたちをワシャワシャして帰っていった。
ドルルン。ドッドッドッド。
今日はあと四軒あるんだって。
はーー。
なんか忙しいんだね、お坊さんってば。
水浴びでスッキリしたぞ、オレ。
そして今日もまだまだ暑い。