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第61話 ネコ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
夜の散歩中、パパさんが急に素っ頓狂な声を出した。
うひゃあ、だって。
ぷぷ。
オレはソレを見た。
あぁ、コイツか。
なるほど。
確かに暗い中、こんな真っ黒な生き物が足の間をすり抜けたらビックリするかもね。
パパさんがスマホのライトで足の辺りを照らす。
そこにいたのは、黒ネコだった。
急に灯りで照らされたネコは、慌てて走って逃げていってしまった。
パパさんが呆然とした表情でネコを見送る。
全く、ネコぐらいで情けないなぁ、パパさんは。
さ、帰るよ?
オレはリードを引っ張って、パパさんを促した。
どんまい、パパさん。
そして今日も夜が更ける。