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第59話 見えないモノ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
オレは先ほどから、ジーっとソレを見ていた。
あぁ……うん。
と、ちょうど通り掛かったパパさんの顔が固まる。
パパさん、しきりに、オレと、オレの視線の先を見比べる。
どうやら、オレが何を見てるのか気になるらしい。
パパさんが慌ててママさんのところに行く。
二人して、こっちを見て、何か話している。
やがて、意を決したらしいパパさんとママさんが、恐る恐る、オレのところにやってくる。
ソコに何かいるのか? だって。
ふぅ。
二人はオレが何を見ているのか分からないのか。
そっかそっか。
……言ーわない。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。