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第55話 ミルク
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
あー、暑い。
今日はまた、一段と暑いな。
伏せどころか、朝からグッタリだよ。
オレは目の前のアルミ鍋を見た。
カリカリが入っている。
減った様子は無い。
そりゃそうだ、オレ、食べてないもん。
いやもう、この暑さで、食べる気力が出ないってば。
ママさんが、そんなオレの前にお皿を置く。
皿の中には、ミルクが入っている。
犬用のミルクだって。
これ、飲めって?
やれやれ。
食欲が無いって言ってるじゃないか。
……言ってないか?
ピチャ、ピチャ……。
美味い! 美味いぞぉぉぉぉぉ!
オレは夢中になってミルクを飲んだ。
あっという間に、皿が空になる。
ふん、ふん。
オレは鼻で、皿をママさんの方に押す。
オレは、おかわりを所望する!!
ママさんは、ニッコリ笑って、皿にミルクのおかわりを入れてくれた。
おはよう、オレ。
そして今日も一日が始まる。