40/365
第40話 パパさんのママさん
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
パパさんが叩かれている。
しかも馬乗りされて。
うはぁ、これは痛そうだ。
さっきからママさんが仲裁に入っているが、パパさんへの平手打ちは全く止む気配が無い。
どうやらこの人は、パパさんのママさん、つまり、オレにとってはお婆ちゃんってことらしい。
パパさんが会社を辞めてYouTuberになったことを聞いて、怒鳴り込んできたようだ。
いやもう、ケチョンケチョン。
バカなことやってないで働け! だって。
うん、オレもそう思う。
再生回数がもうちょっと多ければともかく、一桁じゃ言われるよね。
顔をパンパンに腫らしたパパさんが、黙ってオレをお婆ちゃんの方に押しやる。
途端にお婆ちゃんがオレをワシャワシャ撫で始める。
うわ、うわ、何をする! やめろぅ!!
……なんか知らんけど、お婆ちゃんは納得して帰っていった。
まぁ頑張んなさいよ、だってさ。
え? いいの? それで。
YouTuber、辞めさせたほうがいいと思うな、オレ。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。