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第360話 はたらくくるま
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
届いた段ボール箱の前で、オレは伏せをして待った。
パパさんが箱を開けてくれる。
中から出て来たのは、青くてずんぐりしたプラスチック製の車のオモチャだった。
ちゃんとタイヤも回るし、後ろにはパタパタ開閉する小さな扉まで付いている。
――これは……ゴミ清掃車だな。
ゴミ清掃車? この間は確か軽トラックだったし、どうやら今期のサブスクは『働く車』らしい。
でも『働く車』って言ったら、パトカーとか救急車とかハシゴ車とか、メジャーどころじゃないの?
なんでマイナー系に行くかな。
前足で押してみたが、ちゃんと動く。
よく見るとナンバープレートも付いてるし、運転席助手席のドアも開くし、ミラーもしっかり付いていて、結構本格的な仕様になっていた。
これ、どうやって遊ぶのさ!
っていうかこのクオリティ、絶対犬用じゃないでしょ!
幼児がしっかり遊べるレベルのやつだよ!!
どうしよう、これ。
これから生まれてくる弟か妹かの為に、遊ばず綺麗に取っておくか。