第357話 再生回数
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――なんか再生回数と登録数が徐々に増えてるんだよ。
晩御飯の後の団らんで、パパさんがいきなりそんなことを言い出した。
アキレスをくちゃくちゃ食べながら、オレはパパさんの言葉に耳を傾けた。
実はこのところ、ママさんのアドバイスを聞いてちょこちょこと番組の方針転換をしたり、こうして再生回数の推移を毎日ママさんに報告してたりなんかしてたようなんだが、やっぱりハッキリと数値が変わって来たらしい。
ママさんのテコ入れが地味に効いているみたい。
パパさんの動画も、今までの企画モノから、淡々とオレを映し続けるようなモノに変わっていたんだが、どうやら功を奏したようだ。
――余計なことをせず、『みたらし』を撮ってるだけでこんなに数字が出るとは思わなかった。
――だって、誰かしらの二番煎じばっかりだったもんね、今までずっと。それじゃ、視聴者さんはパクリ配信かって思っちゃうわよ。
――なるほど、そういうもんか。
良かったじゃないか、パパさん。
このまま順調に再生回数が上がっていけば、そう遠くない内に収益化に結び付きそうだぞ。




