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第356話 バラと『ハナ』ちゃん
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
今日の散歩コースは『ハナ』ちゃん家の方だ。
家の前を通ると、ガレージの横に犬小屋が置いてあって……いたいた、『ハナ』ちゃんだ。
オレとパパさんに気付いたようで、庭で草いじりをしていた『ハナ』ちゃんのパパさんが出て来た。
――やぁどうも、『みたらし』クンのパパさん。お散歩ですか。
――えぇ、そうなんです。いやぁ、バラ、綺麗ですねぇ。
見ると、庭では見事なくらい色とりどりのバラが咲いていた。
バラの良い匂いが漂っている。
――そうなんですよ。今年も綺麗に咲いてくれました。
――実に見事です。
パパさんが『ハナ』ちゃんのパパさんと並んで、庭のバラを見ながら世間話をしている。
オレはというと、こうしてその間、大好きな『ハナ』ちゃんの傍に寄って、鼻をスリスリしているわけだ。
うんうん、極楽、極楽。
今日は天気も良くっていい気分だぞ、パパさん。
そしてバラの匂いに包まれて、オレは『ハナ』ちゃんとしばし戯れる。