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第352話 落し物
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
今日も今日とてパパさんとの散歩中。
遥か上空からの落し物が、パパさんの背中に着地した。
よりによって今日のパパさんの服装は黒のパーカーだったもんで、白い流星が背中にバッチリと付いてしまった。
ワンワン! ワンワン!!
オレはパパさんに吠えた。
――ん? どうした? 『みたらし』。違う道行きたいのか?
そうじゃないって!! 背中! 背中!
オレはパパさんの後ろに回り込んで吠えた。
――どうしたどうした! そんなに楽しいのか? 今日の散歩は。そーりゃ良かった。あっはっは。
気付けってばぁぁぁあ!!
――あぁあぁ、背中に何つけてんのよ。
――なんのこと?
夜になって帰ってきたママさんが呆れ顔でパパさんに背中に付いた鳥の糞のことを教えてあげた。
――なんじゃこらぁぁぁぁぁぁ!!
やれやれ。家族とはいえ言葉が通じないって、大変だよ、ホント。
どんまい、パパさん。
そして、既に半日経ったせいで、鳥の糞はカピカピだ。