349/365
第349話 いぬぴりか その1
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
目の前に中身が無くなった米袋が置いてある。
パパさんが買ってきた米袋だ。
うちは、米は買ってきてすぐ米櫃に入れるから、こうしてビニール袋が空くのだ。
オレは何の気なしに米袋に頭を突っ込んでみた。
む? 取れない! きっつー! こうやって、こうやって……ふぅ、取れた。
見ると、カメラを構えたパパさんが、大笑いしながらオレを撮っていた。
ワンワン!
助けてくれても良かったじゃないかぁ!!!!
――落ち着け、『みたらし』。面白かったぞ。そうだ、それ、いっそのこと着てみるか? 面白いかもしれないぞ?
ということで、オレはビニールの米袋を着た。
結構ピッチピチで、胴体にピッチリ、ゆめぴりかの袋が張り付いている。
ちょっとキツい。
――いぬぴりか! あーっはっはっは!!
パパさん、大爆笑だ。
そうしてまたカメラを回している。
ネタが出来て良かったな、パパさん。
そして今日は一日、オレは、いぬぴりかだ。