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第345話 ずんだ
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――『ずんだ』!
ママさんと散歩で公園に行くと、どっかで聞いたような声がした。
見ると、オレより遥かに大きな、茶色の秋田犬がいた。
だが、飼い主のオバサンをどっかで見たことがある。
オレはそっちに寄って行った。
――ちょっと『みたらし』、どこ行くの?
ママさんとオバサンの目が合う。
――あらあなた、お風呂で助けてくれた……。
――あぁ! お元気そうで! ってあれ? 新しくワンちゃん飼うことにしたんですか?
ずいぶん大人しい犬だ。
オレが近寄っても、うんともすんとも言わない。
――えぇ、そうなの。やっぱりね、また犬を飼いたいなって思って保護犬の譲渡会に参加したの。先代に性格が似ている子を選んだから、また名前を『ずんだ』にしてね。
――そうだったんですか。素敵ですね。
ママさんとオバサンが喋っているのを、オレと新生『ずんだ』が並んで見守る。
よろしくな、『ずんだ』。きっと大切にしてくれるよ。
いい飼い主さんに引き取られて良かったな、『ずんだ』。
今度また、一緒に遊ぼうぜ。