第344話 お腹が痛い
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――あいたたたたたたた!!
――パパ大丈夫? 運転するから、病院行くわよ。いい?
おぅおぅ、大丈夫か? パパさん。オレも一緒に行くぞ。心配するな!
夜から痛みを訴え出したパパさんだったが、胃薬を飲んでも良くならず、結局朝になってこうして病院に行くことになった。
犬のオレに何が出来るかって話ではあるのだが、心配なので、やっぱりついていくことにする。
そして……。
――ありがとうな、『みたらし』。細菌性の胃腸炎だって。
――薬飲んだから、しばらくしたら良くなるでしょ。ごめんね、『みたらし』。車の中で留守番させちゃって。
いや、別にオレは構わないんだけどさ。そういえば変に膨れてたお腹、引っ込んでるな、パパさん。出すもの出したのか?
オレの視線に気付いたのか、パパさんが笑う。
――あれかな。ラーメン屋に置いてあった生ニンニク。しこたまブチ込んだけど、いつからここに置いてあったんだって感じだったもんな、アハハ。
アハハ、じゃないよ、パパさん。あんまり心配させんなよ。
動けるようになって良かったな、パパさん。
でもまだ完治したわけじゃないんだから、無理はするなよな。