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第343話 行列の出来るラーメン屋
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
くっさい。むちゃむちゃくっさい。
強引に撫でようとするパパさんからオレは距離を取った。
この臭いはニンニクだ。
オレが犬だってことを差っ引いても、この臭いはちょっと酷いぞ。
どんだけ入れたんだよ、パパさん。
実は市内に、パパさんとママさんが気にしていたラーメン屋さんがあったんだけど、ちょうど一昨日、TVの情報番組のラーメン屋特集でその店が出ていたのだ。
となると行きたくなるっていうのが人の常。
早速、パパさんとママさんがそのラーメン屋に行ってきたってわけだ。
ついさっき帰ってきたばかりなんだけどな。
――『みたらし』、逃げるなよぉ。美味かったんだぞぉぉ。
――パパ、ニンニク入れすぎ。『みたらし』が嫌がってるじゃない。
くっさいなぁ、パパさん。
そして今日は、これ以上オレの傍に寄るなよ!