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第328話 うぐいす再び
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
ホー、ケキョケキョ。
遠くで、うぐいすの鳴く声がする。
散歩中のパパさんが足を止める。
ついでにオレも足を止める。
――前聞いたときはヘタクソな鳴き声だったけど、ずいぶん上手くなったな。って、同じ鳥なわけ無いか。ハハっ。
まぁねぇ。確かに前聞いたときは、ヘタクソだったな。もし同じ鳥だったとしたら、一生懸命鳴く練習をしたんだろうね。
しばらく聴き入っていたオレとパパさんは、やがて散歩を再開した。
――今日は暖かいな、『みたらし』。
今日は暖かいね、パパさん。
気持ちいいな、パパさん。
そしてオレたちは温かい気持ちで、散歩を続ける。