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第326話 ワンコイン
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
ワンコイン体験会。
引き続きパパさんとホームセンターの中をウロウロしていると、そう書いてある垂れ幕を見つけた。
――ワンコイン体験会……犬の何かかな?
だな、きっと。よし、パパさん、行ってみよう!
垂れ幕に導かれたオレとパパさんは、やがて店舗の奥の方の休憩スペースに辿り着いた。
そこには、最新式のマッサージチェアが五台ほど並んでいる。
――無重力体験を特別価格で。百円で十分間、マッサージが受けられます? なるほど、ワンコインだ。待ってろ、『みたらし』。試しにやってみる。
パパさんがオレの入ったカートを傍に置いたまま、マッサージチェアに座った。
十分後、パパさんがホクホク顔でイスから降りる。
――うん、なかなか良かったな。さ、行くか。
身体がほぐれて良かったな、パパさん。
百円だからワンコインか。……ダジャレか!!