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第321話 プラモデル
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――じゃーーん!!
パパさんが後ろ手に隠し持っていた何かの箱を、オレとママさんに見せびらかすように差し出した。
ママさんが困惑した顔をする。
――えっと、なに?
――何って、プラモデルですよ。見て分かんない?
――分かるけど、いや、だからそれがどうしたの? って話。
――かーー、これだから素人は! これはね、プリティキャロットちゃんのプラモデルなんだよ。ずっと売り切れてたのが今日再入荷されててさ。もう速攻買っちゃった!
小躍りするパパさんに、ママさんが呆れた顔を向ける。
――ちなみにそれ、おいくら?
――三千五百円! このクオリティでこのお値段だよ? 超お買い得だね!
――あー、そうなんだ。……頑張って作ってね。
パパさん、遊んでばかりだなぁ……。ま、いいけど。
オレは伏せをしたまま、明後日の方向を向いた。
やれやれだよ、パパさん。
そして今夜、パパさんは夢中になってプラモデルを作る。