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第320話 換毛期ふたたび
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
んー、なんかイライラする。
原因は分かってる。
毎日毎日、毛が抜けるからだ。
昨日なんか、モモの辺りの毛がゴソっと抜けたもんな。
換毛期ってやつだ。
――お、毛の塊がゴッソリ抜けるぞ。
ちょっとパパさん、ズボっと抜くな!
ガゥ!!
――まぁまぁ、『みたらし』、落ち着きなさい。ほら、ブラッシングしてあげるからおいで。
やっぱりママさん優しい! パパさんに爪の垢でも飲ませたいぞ!
――なんか『みたらし』、貧相になってきたなぁ。
しょうがないだろ! 勝手に毛が抜けるんだから!! デリカシー無さすぎだぞ、パパさん!!
ワンワン! ワンワン!!
ふと見ると、家の中が毛だらけになっている。
あー、申し訳ないけど、こればっかりはしゃーない。
掃除頼んだ、パパさん、ママさん。
そして今日も毛が抜ける。