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第32話 マッサージ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ん? なんだこれ。
オレがリビングに行くと、ママさんがうつ伏せになったパパさんの上に立っていた。
踵で腰の辺りをグリグリやっている。
パパさんが、オホー、なんて妙な声を上げている。
どうやらマッサージらしい。
どうでもいいけど、その声、どうにかならないかね。
普段低い声が裏返って、ちょっと気持ち悪いぞ。
と、ママさんがうつ伏せのパパさんから降りて、パパさんの隣に座った。
パパさんが起き上がって、ママさんの背後に行く。
パパさんが親指で、ママさんの背中を何やらグリグリ押している。
ワン! ワン!!
ママさんをいじめるな!
ママさんが苦痛の叫びを上げているじゃないか!
ママさんが笑う。
と、ママさんの顔が歪んだ。
ワンワン! ワンワン!!
今度はパパさん、ママさんの首をグリグリ親指で押している。
やめろってば!!
ママさんがオレを優しく撫でてくれた。
うん、オレはママさんのナイトだからな、えへん。
パパさんが複雑そうな顔をしているが、まぁ気にしないでおこう。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。