第301話 飼い主
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――久しぶりね、『みたらし』ちゃん! よーしよしよし。よーしよしよし。
今日、ママさんのお友達が訪ねて来た。
来たのはいいんだけど、これがいきなり慣れ慣れしくって!
ちょっと! 勝手にほっぺをむにむにするな! 久しぶりって何だよ、でも、言われてみれば、どっかで会ったことがあるようなそうでもないような……。変な感じ!
ワン!
オレは慌てておばさんから離れて、ママさんの隣に行った。
――あら、逃げられちゃった。でも無理も無いわね。あの時はこーんなに小さかったし。それがまぁ大きくなっちゃって。
――えぇ。立派に育ってくれました。
ん? ママさん、何を言ってるの? オレ、この人知らないよ? ……多分。
ママさんがオレを抱っこする。
――この人はね、あなたの前の飼い主さんなのよ。何匹も生まれて里親を探してらしたんで、うちで立候補したの。ありがとうね、『みたらし』。うちに来てくれて。
オレはママさんにたっぷり撫でられた。
えへへ。なんかくすぐったいや。
ありがとう、パパさん、ママさん。オレを引き取ってくれて。
オレ、二人のことが大好きだよ!