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第297話 お花見 前編
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
今朝の散歩はパパさん、ママさん、オレの、二人と一匹だ。
久々の家族全員での散歩で、とっても嬉しい。
今日は初詣に行った神社にお花見に行くらしい。
っていうことは、今日は無人販売所の方を通るルートか。
ママさん、あそこの黒柴がお気に入りだからな。
来てみると、野菜販売所の小屋の後ろに、木製のお立ち台が出来ていた。
朝も早いっていうのに、黒柴がもう起きて、そこに立っている。
ワン! ワンワン!
オレたちに気付いた黒柴が嬉しそうに吠える。
お、おぉ? なんか大きくなったか?
微妙に撫でられない位置に繋がれてるからこれ以上近寄れないけど、ママさんはそれでも近くで見られるから大喜びだ。
――ホウレンソウと長ネギ、買っていくからね。その調子でもっと大きくなりなさいよ。
ママさん、大盤振る舞いだ。でも、オレも久々に会えて嬉しいぞ。
次会うときは、オレと同じくらいの大きさにまで育っているかな。
大きくなれ、黒柴。
そして今日も気持ちの良い朝から、一日がスタートする。




