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第24話 拒否犬
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
オレは散歩の途中で立ち止まった。
パパさんがリードを引っ張る。
やだ。
一歩たりとも動いてやるもんか。
パパさんがしきりにリードを引っ張るも、オレは微動だにすらしない。
しばらく格闘していたパパさんだったが、ようやくあきらめたのか、大きなため息をついて立ち止まる。
オレはそんなパパさんにソッポを向く。
どのくらいそうしていたろうか。
いい加減、パパさんが泣き言を言い出したあたりで、オレは動き出した。
いつも言ってるだろう?
どこに行くかはオレが決めるって。
パパさんがオレを散歩に連れてくんじゃなくって、オレがパパさんを運動させているだっての!
オレは反対側の道にパパさんを引っ張った。
今日はこっちのコースの気分なのだ。
いつもは三十分くらいで終わる散歩が、今日はたっぷり一時間かけてやったぜ。
パパさんはヘトヘトだ。
オレは満足したがね。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。