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第23話 外国のお姉さん
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ベリキュー!
ベリーキュート?
おぉおぉ、苦しゅうない、存分に撫でるが良い。
ちょっと遠い、広い公園に散歩に来たオレは、ちょうどそこに来ていた外国のお姉さんに捕まった。
オレは引っくり返されながら、体中をワシャワシャ撫でまくられた。
ちょ、乱暴にするなっての。
あぁ、でも気持ちいいーー。
ワッチャネー。
お姉さんがパパさんに何やら聞いている。
パパさんは一瞬首を傾げたが、すぐ意を悟って大きくうなずいた。
イガラシデース。
オー、イガラーシ!
お姉さんが再びオレを激しく撫でる。
イガラーシ、イガラーシ!!
ねぇ、これ、違くない?
これ絶対、オレの名前を『五十嵐』だと思ってるパターンじゃない?
パパさんもそれに気付いたようで顔を赤くしている。
でも何も言わない。
あ、このまま通すつもりだ。
チキンめ。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。