第220話 福袋
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
どこかに出かけていたパパさんが、でっかい袋を持って帰ってきた。
いやもぅ、見るからに中身パンパンで重そうな紙袋なんだ、これが。
そんでもって、それを持ったパパさんの嬉しそうな顔ときたら。
――ただいま、『みたらし』。今ちょっと忙しいんだ。また後でな。
パパさんはオレをワシャワシャ撫でると、そのまま秘密部屋に直行した。
オレも一緒に秘密部屋に行って、外で伏せをする。
――なんだ、お前もこの中身が気になるのか? ふっふっふ。これはな、雑貨屋さんで買った福袋だ。『キャロットちゃんセット』だってさ! 何が入ってるだろうな。さぁこい!
そう言ってパパさんが袋から勢いよく取り出したものは……ニンジンのぬいぐるみだった。
パパさんは続いて、貯金箱、置時計、トランプ、クッションと、ニンジングッズを袋から出しまくり、やがて袋を逆さまにして中身が空になったのを確認すると……ガックリ頭を下げ、しくしく泣きだした。
――ボクのプリティキャロットちゃんが……。
上手い商売するなぁ。
どんまい、パパさん。
そして……まぁなんだ、そんなこともあるさ。




