第199話 急ぎの依頼
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――え? 今から? だってもう二週間しか無いでゴザルよ? いやいや、ワタナベ氏、描けないとは言ってないでゴザルよ。ただ、いかに拙者といえどその枚数となると……オゥフ、それは厳しい!
パパさんが秘密の小部屋の中で何やら妙な言葉を喋っている。
オレはパパさんの隣に寄った。
あ、これSkypeってやつだ。誰と会話してるのかな。
――してジャンルは? ドプフォ! キタコレさすがでゴザルよ、ワタナベ氏。……フォカヌポウ! あい分かった、拙者に任せるでゴザル。
……何言ってるか、さっぱり分からない。
――お? 『みたらし』、いつからいたんだ? ほら、おいで。
Skypeを切ったパパさんに呼ばれ、オレはパパさんの膝の上に乗った。
パパさんがオレを抱っこしながら、机上カレンダーに何やら印を付けている。
――しっかし参ったな。今年の冬の祭りも年末だったよな。それまでにイラストを五枚か。当日頒布のコピー誌用の原稿とはいえ、ちょっと厳しいな。ま、引き受けた以上は頑張るけど、やれやれ。
……という話だったらしい。
どんまい、パパさん。
そして、依頼を間に合わせる為に、今日から必死で頑張れ。




