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第197話 ビーズのネックレス
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――あれ? ハマ……らない。んーー、おっかしいなぁ。
ママさんが首の後ろに手を回して何かやっている。
オレの視線に気付いたママさんが手を動かしながらオレに向かって口を開く。
――友達からネックレス貰ったんだけど、なかなかハマらなくってね。あぁもぅ!
ポロっ。
オレは目の前に落ちてきたネックレスを反射的に咥えた。
――ちょ、ちょっと『みたらし』、咥えちゃダメ!
お? 追いかけっこか? 負けないぞ!
オレはネックレスを咥えたまま走り出した。
ママさんが必死の形相で追いかけてくる。
楽しーー!!
五分後、ママさんにとっ捕まったオレはネックレスを奪われてしまった。
ちくしょー。
ところがである。
テグス処理がしっかりしてなかったせいか、ママさんが奪い返した次の瞬間、ネックレスはママさんの見ている目の前でバッラバラに散ってしまった。
――キャー!!
家中にママさんの叫び声が轟いた。
やれやれ。
どんまい、ママさん。
そしてパーツ拾い、頑張って!




