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第193話 クリスマスツリー
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
今日の夜散歩は、駅コースだ。
おぉ、風が強い。
最近めっきり寒くなったね。
こういう寒い日は、コタツでぬくぬく……あれ、なに!
オレは急に駆け出した。
厚着して動きの鈍くなったパパさんがヒィヒィ言いながらオレに引っ張られる。
――あぁ、クリスマスツリーだ。こりゃ綺麗だ。
駅のロータリーに設置された高さ五メートルはありそうな大きなモミの木に、色とりどりのイルミネーションがいっぱい飾られ、ピカピカ光っていた。
――田舎の駅だけど、頑張ったんだな。
そうだね、田舎の駅だけどね。
しばらくツリーを堪能してから、オレはリードを引っ張った。
パパさん、そろそろ散歩の続きに行こう。
――『みたらし』のところにも、今年もサンタさん、来るといいな。
サンタさん? おぉ、覚えてるぞ。去年、オレの寝てる間に来たって人だろ。オヤツ貰ったお礼を言いそこねたんだ。今年は会えるかな。
寒いな、パパさん。
そして、クリスマスツリーのイルミネーションは、しばらく続くそうだぞ。