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第19話 風船
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
丸い。
ゆらゆら揺れている。
これ、なんだ?
オレはパパさんを見上げた。
ここは早朝の公園だ。
オレはパパさんを運動に連れて来て、変なモノを見つけた。
風船? 風船っていうの? これ。
ワン!
オレは遠くから吠えてみた。
パパさんが、もう行こうと、リードを引っ張る。
風船が風で、ゆらゆら動く。
むむむ、こいつ動く、動くぞ!
オレはその場から動かず、じっと観察する。
生き物ではないと思うんだけど、なんだろ、これ。
パパさんが再度リードを引っ張る。
いいや、動かん!
こいつの狙いが何なのか、きっちり探らないといけないからな!
帰りは歩かずに帰宅した。
オレが動かないことに業を煮やしたパパさんが、オレを抱っこして家まで連れ帰ったからだ。
パパさんが、しきりに腕を揉んでいる。
思った以上に、腕に負担が掛かったようだ。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。