第185話 コタツ
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
そろそろ朝晩の冷え込みがキツくなってきたので、パパさんが押入れからコタツを出してきた。
ママさんが数日前からコタツ布団を干していたから、そろそろだとは思っていたんだ。
おぉ、フカフカだー、フカフカだー。
オレは、コタツに掛けたばかりのコタツ布団を咥えて引っ張った。
――こぉら『みたらし』! 遊ばないの!
てへへ。ママさんに怒られちゃった。
ところが、パパさんがリビングにコタツを設置し終えてスイッチを入れるも、ちっとも暖かくならない。
――あれ? おっかしいな。なんで電源が入らないんだ?
――ちょっとパパ、コンセント抜けてるってば。
ママさんの指摘を受けたパパさんが苦笑いしながらコンセントを差し込み、改めてスイッチを入れた。
二人と一匹でコタツ布団をめくってジっとコタツヒーターを見てると、徐々にヒーターが明るくなってきた。
何ヶ月か押入れの中に仕舞っておいたが、特に壊れはしなかったようだ。
良かった、良かった。
無事稼働したのを確認したオレたちは、競うようにしてコタツに入った。
おぉ、暖かい! こーりゃいいや。
ここはパラダイスか!
なんて素敵なんだ、コタツ。
そして今日は、ここで寝ちゃっていいよね。