第180話 オモテウラ
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――おぉ、今回は魚だ。一見普通な……あれ? どっちだったっけ、これ。
オレは、さっき届いたばかりのサブスクのダンボールの中に入っていた平たいぬいぐるみを咥えて床に置いた。
パパさんが魚を見てスマホをいじりだす。
――左向きのときに目が両方ともこちら側を向いてるから、ヒラメね。
へぇ。随分と目が寄っている魚だと思ったけど、デフォルメじゃなくって、これでいいんだ。
――さっすがママ、物知りだね。ってことは、ひっくり返すと真っ平らに……。
パパさんがヒラメのぬいぐるみをひっくり返す。
――あれ?
――え? なんで?
ん? 右向いても目が両方ともこっちに向いてるよ? まさか目が四つある魚?
――あぁ、なるほど。どっち向いても遊べるように、表裏にそれぞれ、ヒラメの絵とカレイの絵がプリントしてあるってことか。
オレは平たい魚のぬいぐるみをきゅっきゅと足で踏んでみた。
ちなみに今回のぬいぐるみは、造形されているモノではなく、平たいクッションに魚の絵がプリントされているだけのモノだ。
なんというか……チープだなぁ。
どんまい、オレ。
そして、今回のサブスクは……チープだ。




