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第17話 キャベツ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
オレが調理中のママさんの足元で警備をしていると、上から何かのカケラが降ってきた。
まな板からこぼれ落ちたようだ。
なにこれ、なにこれ。
食べていい?
オレは右の前足をママさんの足に掛けた。
オレのサインに気付いたママさんがオレを見る。
オレと落ちた野菜を交互に見ている。
どうやら、オレの言いたいことを悟ってくれたようで、うなずく。
なるほど。これはキャベツというものらしい。
オレは恐る恐る、キャベツのカケラを口に咥えた。
パリっ、パリっ。
うっまーーーー!
キャベツ、うっまーーーーーー!!
おかわり!
オレはママさんを前に、おすわりをして、シッポを激しく振る。
ママさんが苦笑しながら、キャベツのカケラをくれた。
パパさんが、ママさんの作った焼きそばを食べながら、不審そうな顔をしている。
いつもの焼きそばに比べ、野菜が少ないらしい。
うん、その減った分が、オレのお腹に入っているのだよ。
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。