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第157話 お留守番
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ワンワン!
ワンワン!
ママの実家に到着して車から降りると、いきなり吠えられた。
またそれか、『しらたま』。
お互いに臭いを嗅ぎ合うと、途端に大人しくなる。
いい加減、オレを一発で分かれ!
家から出てきたおじいちゃんとおばあちゃんが、オレを撫でまくる。
うぉ、急いでいるからか、撫で方が何か……雑だ。
ひとしきりママさんに留守中のことを指示すると、おじいちゃんとおばあちゃんは車に乗って急いで出て行った。
『しらたま』が悲しそうな顔で立っている。
ま、そんな顔すんなって。オレたちがいるだろ?
おじいちゃん、おばあちゃんが戻るまで、この家はオレと『しらたま』、そしてパパさん、ママさんの、二人と二匹で住むことになる。
オレは『しらたま』に寄り添った。
ほんの数日間だけど、よろしくな、親友。
楽しもうぜ、オレ。
そして田舎の日が暮れる。