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第153話 コンテスト
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
――ねぇ、市のハロウィン仮装大賞の発表、今日じゃなかった?
――あぁ、すっかり忘れてた!
朝からパパさんとママさんが騒いでいる。
仮装大賞? あぁ、そういえば先日、ハロウィンの衣装を着させられたとき、パパさんがしきりに写真撮ってたなぁ。
You Tube用にカメラを回すのはいつものことだけど、あの時は普通のデジカメでも撮ってたから、おかしいなとは思ってたんだ。
そんなものに送ってたのか。
あのカボチャの輪っか、窮屈で大変だったんだから、せめて賞くらい貰っておきたいもんだ。
市のHPを確認していたパパさんとママさんの動きが止まる。
――モップだ。
ペット部門で大賞に選ばれていたのは、裏の家の『ごまだんご』だった。
え? でもこれ、仮装してないよ?
あいつ、灰色のシーズーだから、普通にいるだけでモップじゃん。
確かに写真はモップっぽいけどさ。
パパさんとママさんは、ガッカリ顔でHPを閉じた。
元気出せ、パパさん、ママさん。
そして今日は、ガッカリ気分で一日がスタートする。




