151/365
第151話 新しいカリカリ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
カラカラカラカラ……。
パパさんがオレのエサ入れ用の鍋にカリカリを入れる。
オレはパパさんを見上げた。
――新しいドッグフードだ。美味しいぞ。
匂いを嗅いでみる。
オレは無言で、鍋を鼻先で遠くに押し出した。
――え? え? なんで? だってこれ、TopYouTuber犬の『くるみゆべし』クンが食べてるやつだぞ? 高級なんだぞ?
なんだい、また『くるみゆべし』の動画見て感化されたのかい。
高級だろうがお安かろうが、匂い嗅いだだけで分かるよ、美味しくないって。
そんなの食べないよ。
いいから、いつものやつに戻して。
オレはその場で寝そべった。
――ウソだろ、大袋で買っちゃったのに! どうすんだよ、これ。
あぁもぅ、泣くなよパパさん。
そんなの知らないったら。
オレは寝そべったまま、プイっと顔を横に向けた。
ちゃんと飼い犬の好みを把握することだね、ニシシ。
どんまい、パパさん。
そして新しいカリカリは、大袋のまま部屋の隅に放置される。




