第150話 シャケ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ダンボールを開けると、横に、何とか水産とか書いてある発泡スチロールの箱が入っていた。
蓋を開けるとビニールに覆われた何かが入っている。
パパさんが首を傾げながらビニールを取ると、シャケが出てきた。
長さ、一メートルもある、リアルなシャケ。
オレは隣に立つパパさんを見上げた。
え? 買ったの?
説明書きを読んでいたパパさんが、いきなり大爆笑した。
そして、オレの前に箱から取り出したシャケを置く。
あれ? お魚の臭いがしないぞ。
ガブっ。
違う! これ、ぬいぐるみだ!!
しかも、噛みついた拍子に、お腹からゴロンと何かのカタマリが出てきた。
――筋子! 筋子! わっはっははははは!!
パパさん、笑いすぎだよ。
筋子はビニール製の袋の中に入っていた。
ビニール越しに、いっぱい詰まったオレンジ色の玉が見える。
変なの。
オレは筋子を足で押さえた。
ブニュルルルルルルルル!
途端に、ビニールの端から、中に入っていたオレンジ色の玉が連なって飛び出した。
慌てて足を離すと、出たとき同様、勢いよく玉が戻っていく。
――イクラ! イクラ! わっはっははははは!!
パパさん、またも大爆笑だ。
こっちは驚いたんだっての!
これが、今回のサブスクだった。
前も思ったんだけど、ここの編集部、何考えてこんなの作ったんだ?
どんまい、オレ。
そして今日もイクラが、ぶにゅるるるー。