147/365
第147話 カマキリ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
うわ、ビックリしたぁ!!
オレが玄関を出ると、そこに何か変な生き物がいた。
鎌のような手を持った逆三角形の顔をした生き物が、オレに向かって羽根を広げている。
あれ? ひょっとしてオレ、威嚇されてる?
――これはカマキリだな。よし、みたらし、動画撮るぞ! 戦え!
パパさんが慌ててカメラを構える。
え? 戦え?
ワンワン!!
くっそー。何だこいつ、いきなりオレを威嚇しやがって。
怖くなんか無いからな!
オレの吠え声に反応したカマキリが、いつでも斬り掛かれるぞとばかりに、両腕を高く上げる。
わわっ、こっちに鎌向けるなぁ!
ワンワン!
オレはカメラを構えているパパさんの後ろに素早く回り込んで、犬パンチで牽制した。
散歩行かなきゃならないから、今日はこれくらいで見逃してやる。
いい気になるなよ、カマキリ!
さ、パパさん、オレが牽制しているうちにソイツをどっかにやってくれ!
早く!!
どんまい、オレ。
そして今日も、オレは誰の挑戦でも受ける!




