140/365
第140話 お刺身
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
伝説のおやつというものがある。
テレビとかでCMをやってるアレだ。
あれは美味い。
上手いが、実はあれよりも美味いものがある。
それが、マグロだ!
ママさんの実家に行ったときに初めて食べたが、あれほど美味いものは無いね。
そして、それが今、食卓の上に!!
――いただきまーす。
パパさんとママさんが晩ごはんを食べ始めた。
オレはお座りして待つ。
しっぽが、知らずパタパタ動き出す。
ダメダメ、お行儀よく、お行儀よく、だ。
――みたらし、あーん!
――ちょっと! 醤油とワサビついてるのあげちゃダメでしょ!
パパさんがママさんに怒られてる。
――はいみたらし、これあげるね。
オレの前の小皿にマグロの切り身がいくつか置かれる。
オレは、あっという間に平らげた。
これだ、これ! もっとくれぃ!
美味かったな、オレ。
次の刺し身の日まで、オレは頑張る。




