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第133話 インターホン
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
――見えてるー?
――見えてる、見えてる!
ワン!
パパさんが外から、ママさんが内から、インターホン越しに会話をしている。
オレはママさんと、新しいインターホンに付いている小さなモニターを見た。
その中でパパさんが手を振っている。
元々、家のインターホンは、声のみやり取りするタイプだった。
このタイプの厄介なところは、わざとボソボソ喋る人が相手だと、いちいちドアを開けて用向きを確認しなければいけないということだ。
面と向かってだとハッキリ断ることができないパパさんは、そこで延々、相手の主張を聞くハメになる。
それに、最近どうも物騒だ。
ドアを開けて、そこに不審者がいたら?
とまぁそんなわけで、家でもモニター付きのインターホンを導入することになったわけだ。
パパさんがモニター越しに、ご機嫌で手をブンブン振っている。
おー、結構ハッキリ外の様子が写ってる。
よしよし、これならパパさんでも押し売りをすぐ断れそうだぞ。
ワン!
良かったな、パパさん。
これで今日から安心だね!